視聴した2024年夏アニメの、備忘も兼ねた簡単な感想です。
完全に私見で、ストーリーやキャラクターの好き嫌いもあるけれど、気になっているものがあれば参考にしてみてください。あまり核心には触れるつもりはないけど、念のためネタバレ注意。
参考程度に以下の形で評価を添える。
⭐︎:駄作
⭐︎⭐︎:凡作
⭐︎⭐︎⭐︎:良作
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎:秀作
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎:名作
① ATRI -My Dear Moments-(⭐︎⭐︎)
ストーリー(公式サイトより引用)
————
“沈みゆく世界で、君を見つけた。”
原因不明の海面上昇によって、地表の多くが海に沈んだ近未来。
幼い頃の事故によって片足を失った少年・斑鳩夏生は、
都市での暮らしに見切りを付け、海辺の田舎町へと移り住んだ。
身よりのない彼に遺されたのは、海洋地質学者だった祖母の船と潜水艇、そして借金。
夏生は“失った未来”を取り戻すため、祖母の遺産が眠るという海底の倉庫を目指して潜る。
そこで見つけたのは、棺のような装置の中で眠る不思議な少女―アトリ。
彼女は、人間と見紛うほどに精巧で感情豊かなロボットだった。
海底からサルベージされたアトリは言う。
「マスターが残した最後の命令を果たしたいんです。
それまで、わたしが夏生さんの足になります!」
海に沈みゆく穏やかな町で、少年と
ロボットの少女の、忘れられない夏が始まる―。
同名のビジュアルノベルを原作とするアニメ。
オープニングとエンディングは秋元康が手掛ける国民的アイドルグループの「乃木坂46」と「22/7」がそれぞれ担当している。
海面上昇により多くの街が水没した近未来を舞台に、事故で片足を亡くした主人公・斑鳩夏生と、自我を持つ高性能アンドロイドでありヒロインのアトリを中心とした人間ドラマが描かれていく。
シナリオはアニメ化もされた『グリザイアの果実』シリーズを手掛けたフロントウイング所属のシナリオライター・紺野アスタ。
原作ゲームはプレイしたことはないものの何となく名前だけ聞いたことがあったので、せっかくだからと視聴してみた。なんとなくキャラクターや空気感は王道の美少女ゲームという感じがして、好きな人は好きだろう。それこそ一昔前のエロゲのような雰囲気だ。
僕はノベルゲームで言うならば、ニトロプラスのような邪道寄りの作品を好きになる傾向があるため、このような王道美少女アドベンチャーといった雰囲気の作品はあまり好みではなかったものの、ロボットに心は宿るのかというような中盤のシリアス展開は興味深かった。
けれども、それこそ同じくアンドロイドを主題とする有名ゲームの『デトロイト』や後述する『ニーア』と比べるとそこまで深刻にはならず、良くも悪くも美少女ゲーム感が強かったような気がする。
とは言え、ラストはヘタなご都合主義で終わらなかったのが良かった。駆け足気味ではあったものの、なかなか綺麗な終わり方をしたのではないか。
② 異世界失格(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)
ストーリー(公式サイトより引用)
————
とある文豪と、その愛人がこの世を去った。
憂い多き人生の如く渦を巻く激流へと身を投げ…るよりも早く、
猛スピードで突っ込んできた〝例のトラック〟によって。
文豪が目を覚ますとそこは、異世界の教会。
案内人は、慈愛に満ちた瞳で微笑みかける。
「ようこそ冒険者よ。あなたは選ばれ、転移したのです」
御多分に洩れず、勇者の使命を背負わされてしまう文豪。
だが、彼は転移者の誰もが与えられる〝あるもの〟を持たなかった……。
「…ふふ。恥の多い生涯だ」
この世でも、異世界でも
<失格者>の烙印を押された文豪の冒険が幕を開ける。
きっと、どこかにいるはずの「さっちゃん」を見つけ出し、
今度こそ、あの日の本懐――心中を遂げるために。
同名の漫画を原作とする異世界転移もの。実はなろう系ではない。
主人公の名前は明言はされていないが、太宰治がモデルで、作品名の元ネタは言うまでもないが太宰治の小説『人間失格』。その他、作中では様々な太宰治ネタが散りばめられている。
主人公のセンセーは愛人であるさっちゃんと玉川上水で心中しようとしたその瞬間、トラックに突っ込まれて異世界に召喚され、魔王を討伐するよう命じられる。
しかし、死にたがりのセンセーは共に異世界へと召喚されたであろう愛人を探し、今度こそ心中を遂げるため旅へと出るのだった。
ストーリー自体はコメディ寄りで、ヒロインの属性も割とコテコテ。
聖母のような巨乳エルフだったり、ツンデレの猫耳格闘少女だったりして、よくある異世界ハーレムものかとあまり期待していなかったが、結果として予想外に面白かった。
序盤で魔王は他の転移者の手で既に討伐されており、チート能力を授けられた転移者たちが世界を支配しているということが明らかになる。
センセーはそれら転移者を元の世界に送り返していく能力を持っており、闇落ちした異世界勇者と対峙することになるという設定も斬新だし、良い話が多いのだ。
意外としんみりとしたり、ほろりと泣けたりするような話がちょこちょことあり、良い意味で最初の印象から裏切られた。
それにセンセーが終始落ち着いていて飄々とした態度を取っているのも良い。
実際の太宰治であればもっと怯えるに違いないが、そこはフィクション。うまい具合に肝が座った作家先生として描かれている。神谷浩史のやや厭世的な演技もちょうどいい。
このような具合でよくある異世界転生ものというよりも少年マンガに近い空気感を感じたし、けっこうオススメです。
それと先述したツンデレ猫耳格闘少女であるタマがやっぱり無難に可愛くて良かったですね。それと見ていれば分かるが、タマは強気ではあるものの別にツンデレではない。
③ 異世界スーサイド・スクワッド(⭐︎⭐︎)
ストーリー(公式サイトより引用)
————
犯罪都市、ゴッサム・シティ。
A.R.G.U.S長官のアマンダ・ウォラーはある任務のため、ハーレイ・クイン、デッドショット、ピースメイカー、クレイフェイス、キング・シャークを招集。ゴッサムの悪党(ヴィラン)共が送りこまれたのは、ゲートによって繋がった剣と魔法の世界、オークが闊歩しドラゴンが空を翔ける“異世界=ISEKAI”だった!!
ISEKAI到着直後から暴走するハーレイ達だったが、王国の兵隊に捕まり監獄送りに。
首に装着された爆弾の爆発まであと72時間…。
タイムリミットが迫るハーレイ達。
女王アルドラとの交渉の末、掴み取った解放の条件は″敵対する帝国軍の征圧″。
NO CHOICE !!自由を得るため…ハーレイ達はファンタスティックでデンジャラスな戦地へ向かう!!
逃げても即死!任務失敗でも即死!
命懸けのミッションを背負ったハーレイ達はこのISEKAIを生き抜くことができるのか!?
決死の特殊部隊=スーサイド・スクワッドのド派手な”暴”険譚が今、幕を開ける!!
LET’S PARTY!!
こちらも異世界転移もので、DCコミックの著名なヴィランたちで結成された「スーサイド・スクワッド」が資源開拓のため、ワープゲートから異世界に送り込まれるというオリジナル作品。ハーレイ・クインが元気でかわいい。
異世界では王国と帝国の間で戦争が起きており、既に先遣隊として派遣されていた別のヴィラングループたちが帝国を支配して戦争を主導していた。
スーサイド・スクワッドの面々は王国側に手を貸すこととなり、剣と魔法の世界で現代火器を駆使しながら戦っていく。
面白いといえば面白いけれど、どこかで見たことがあるような異世界で新鮮みは薄いし、重厚な世界観や複雑な設定があるわけでもない。
あくまでDCヴィランたちが日本で流行していたコテコテの異世界を暴れまわるという、ファンサービス的な側面が強い感じがした。
ただ、ホロライブENに所属するVtuber・Mori Calliopeが歌うエンディングで、スーサイド・スクワッドの指揮官である黒人女性のアマンダがひたすら踊り続ける映像には衝撃を受けた。あれは一度見てみる価値はあるだろう。ポリコレもニッコリ。
④ 【推しの子】第2期(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)
ストーリー(公式サイトより引用)
————
新たな舞台の幕が開く──
人気マンガ『東京ブレイド』の舞台稽古が始まった。
劇団ララライの役者達に囲まれ、大きく飛躍するかな。
かなの才能を認めながら、ライバル心を激しく燃やすあかね。
才能と熱意のある役者が集う中、アクアは演技すらも利用してアイの死の真相を追い続ける──。
そしてアイドルとして母の背中を追い続けるルビーは……。
週刊ヤングジャンプにて連載されている、芸能界を舞台とした同名の大人気コミックのアニメ第2期。
宮崎県の病院で働く医師・ゴローは、勤務している病院の入院患者である・さりなとともに人気アイドルグループ「B小町」のセンターであるトップアイドル・星野アイの大ファン。
そんなゴローのもとに妊娠したアイが秘密裏に出産するべく訪ねてくる。そんな彼女の出産をサポートすることに決めたものの、来たる出産予定日、何者かに襲われてゴローは命を落としてしまう。
次に目を覚ましたとき、ゴローは自らの推しであるアイの子どもとして転生していた、という、異世界ではない転生ものであり、サスペンス。双子の兄として産まれて「愛久愛海」と名付けられ、「瑠美衣」と名付けられた双子の妹は入院患者だったさりなだった。
作中に登場する「東京ブレイド」という人気漫画の舞台化にあたって、舞台脚本家や原作漫画家といった裏方の確執と苦悩や、舞台俳優たちのライバル関係と成長などが描かれる「2.5次元舞台編」が主。アクアとルビーの実の父親が初登場したりと物語も大きく進展した。
原作の魅力を損なうどころか、実際の舞台の演出なども組み入れてパワーアップしている丁寧なアニメ化で、作画も綺麗。そしてWヒロインである有馬かなと黒川あかねも安定して可愛い。
個人的には1期で棒演技を披露して傲慢な態度を見せていた俳優のメルトが努力を重ねて挽回した17話や、誰かを立てることを選んできた有馬かなが皆の後押しを受けて光を浴びて輝く18話あたりが好きですね。
特に有馬かなと黒川あかねの描写からはどことなく『スタァライト』を感じたりもした。あっちも舞台の上で感情をぶつけ合って戦う話だし、根底は通じるところがあるのかもしれない。
ともかく、かなり良くできた出来のアニメだと思います。
あと、最終話で公開された新曲の「POP IN 2」がMV含めとてもかわいい。闇堕ちルビーが良いエッセンスだ。
⑤ しかのこのこのここしたんたん(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)
ストーリー(公式サイトより引用)
————
元ヤンを隠し、優等生として生きる虎視虎子は
電柱にぶらさがるツノが生えた謎の少女に出会う。
謎の少女「鹿乃子のこ」こそが、虎子の人生を搔き乱す元凶となるのであった。
(1話あらすじ)
同名のギャグ漫画を原作とするアニメ。
「鹿」をこれだけ打ち出しているものの舞台は奈良県ではなく、東京の日野市。意外だが、まあそれはいい。
かつてヤンキーだったものの高校に進学してからは完全無欠の優等生かつ生徒会長として振る舞ってきた虎視虎子と、頭から生やしたシカの角で電線に引っかかっていた謎の女子高生・鹿乃子のこの二人が出会ったところから物語が始まる。ガール・ミーツ・シカ。意味がわからん。
端的に言うなら『ボーボボ』系統の作品で、シカ界の大御所でもあるせんとくんとプロレス対決したり、めちゃくちゃシリアスな引きで終わったと思いきや次週からは何事もなく始まったりとめちゃくちゃで、多くのパロディを交えながらノリと勢いだけで話が進行していく。
ストーリーと呼べるものはほぼないに等しく、主人公の虎視虎子(こしたん)が数少ない常識人かつ視聴者の代弁者としてツッコミ続けてくれるのだけが救いだ。
それとシンプルにこしたんのようなキャラクターが好みで、ノリノリでオリジナルソングを歌い始めるような奇行を見せることもあるのも可愛くて良かったですね。愛おしい。
鹿乃子のこ(のこたん)は、『推しの子』の有馬かなと同じ潘めぐみが声優を務めているため、時々推しである有馬かなの影が脳裏によぎるのが狂気を加速させる。おかげで有馬かなからはのこたんを感じるようになった。いいかげんにしろよ。
アニメ放送前にオープニングがバズっていたためなんとなく逆張り精神で見ていなかったけれど、実際に見てみるとかなり好みに合っていてとても良かった。
本当に何も考えなくて良いというか、考えても無駄というか、ともかくそんな感じで気楽に見られるのが良い。何より見終わったあとに明るい気持ちになれるのがいいね。
特に今期は『推しの子』も『ニーア』もシリアス色の強い作品だし、『小市民』や『負けイン』のような情緒的な作品も多かったため清涼剤となってくれた。ありがとう、しかのこ。
⑥ 小市民シリーズ(⭐︎⭐︎⭐︎)
ストーリー(公式サイトより引用)
————
平穏で慎ましい小市民を目指すという約束をした小鳩常悟朗と小佐内ゆきは、無事同じ高校に入学した。ところが、小佐内からいちごタルトを買いに行こうと誘われた四月のある日、小鳩は校内で盗まれたというポシェットの捜索に駆り出されてしまう。いきなり事件に遭遇した小鳩たちは、穏やかな放課後を過ごせるのだろうか。
(1話あらすじ)
『氷菓』で知られる直木賞作家・米澤穂信の小説シリーズを原作とするアニメ。
今作はシリーズの第一弾と第二弾である『春期限定いちごタルト事件』と『夏期限定トロピカルパフェ事件』のアニメ化で、舞台は米澤穂信の出身地でもある岐阜県。
中学時代、問題事に首を突っ込んでは鼻につく高慢な態度で推理を披露して煙たがられていた主人公・小鳩常悟朗は、同様に復讐を愛し徹底的に相手を追い詰める執念深い性格から敬遠されていたヒロイン・小佐内ゆきとともに、高校からは「小市民」として平穏な日常を過ごしていくために協力関係を結んでいた。
そんな「小市民」として過ごしている日常生活の中で発生した事件の謎を、小市民としての範囲を逸脱しないように互いに牽制しながら推理していくことになるようになる、というような話。
剣や魔法はもちろん、世界を左右するような大事件も起きないけれど、身近な日常の中で起きる様々な謎を解いていく様は面白い。
けれど、それ故に人を選ぶ作品とも言えるかもしれない。ジャンプアニメのような熱いバトルを求めている場合は、あまり肌に合わないだろう。
そんな中でもドラッグがどうとか誘拐事件だとかシリアスな話も出てくるのだけど、個人的にはどうやって容器を汚さずに3人分のココアを用意したのか謎解きする第2話「おいしいココアの作り方」や、ものすごく美味しいスイーツが3つある中で、元々ふたつしかなかったと偽装工作して自分は一個多くスイーツを食べようと計略にかかる第6話「シャルロットだけはぼくのもの」が好きだった。地味と言われてしまえばそれまでだが、それが良いのだ。
それと、田舎すぎず都会すぎない地方の空気感がしっかりと再現されていてとても好きですね。
東京や横浜のような大都会は疲れるし、かといって村社会が色濃く残るガチ田舎もしんどく、単純に不便だ。このくらいの地方都市に憧れている。
⑦ NieR:Automata Ver1.1a 第2クール(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)
ストーリー(公式サイトより引用)
————
▶▶ポッド042より報告
西暦5012年。
外宇宙より突如飛来してきた<エイリアン>が、地球侵略を開始。
人類は月へと逃れ、地上では永きに亘り<機械生命体>と<アンドロイド>による戦闘が続くこととなる。
西暦11945年。
「第243次降下作戦」が開始された。
以降、<ヨルハ>部隊の<2B>と<9S>は、地上の奪還作戦に従事。
廃墟都市付近での任務中、レジスタンスより行方不明となったアンドロイドの捜索依頼が発生。
2B・9S両名は司令部からの調査任務とも関連がある可能性を考慮。当該機体の捜索を開始する。
(13話あらすじ)
スクウェア・エニックスから発売された同名の人気ゲームを原作とするアニメの第2クール目。
主人公の2Bなどは海外でも人気が高いため、ビジュアルだけ見たことがあるという人も多いのではなかろうか。
地球はエイリアンとその創造物である機械生命体に侵略され、人類は月への逃亡を余儀なくされてしまう。
そんな中で地球を奪還すべく宇宙の基地から派遣された「ヨルハ」という戦闘アンドロイドの物語。
2クール目ということもあって物語は終盤。核心に迫っていき、登場人物はほとんどが死ぬ。
第21話の「[N]o man’s village」なんてサブタイトルからも分かる通りで、見終わったあとには鬱々とした気分になった。
自分だけが生き残って仲間たちに先立たれる寂寥感を手軽に味わえる良いアニメだ。
『チェンソーマン』や『進撃の巨人』でももっと生きていたと思うし、こんなにも主要人物含め死にまくる作品もそうそうないだろう。
世界の色彩はモノトーンで、シリアスが全面に押し出されている作品ではあるけれど、好きな人にはかなり刺さると思う。少なくとも僕は結構好きですね。
物語の重さとは別に、A2というキャラクターもとても好きです。可愛くて、カッコよくて、セクシーで、強く、そして可愛い。彼女の存在だけが視聴していた僕の希望だった。それと、ポッド042が良いやつすぎるし、A2とポッドの掛け合いもまた良いのだ。
⑧ 負けヒロインが多すぎる!(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)
ストーリー(公式サイトより引用)
————
ライトノベル好きの達観系ぼっち・温水和彦は、ある日偶然クラスの人気女子・八奈見杏菜が幼馴染の男子生徒に振られている現場を目撃してしまい、その後立て続けに、陸上部の焼塩檸檬、文芸部の小鞠知花という負け感漂う女子たちと関わりを持つようになる。
負けヒロイン――マケインたちになぜか絡まれる温水の謎の青春が、ここに幕を開ける!
(1話あらすじ)
同名のライトノベルを原作とした恋愛アニメ。
愛知県豊橋市が舞台で、タイトルの通りそれぞれ片想いに破れたいわゆる「負けヒロイン」たちと主人公の青春を描く。
てっきり負けヒロインたちとの恋愛を描く、『100カノ』のようなハーレムラブコメかと思っていたけれど、その内容はもっとしっかりとした恋愛もので、どちらかというと『俺ガイル』のようなヒューマンドラマだった。
ただ、俺ガイルと比べるとコメディ寄りではあるので見やすいかもしれない。
エンディング曲は負けヒロインたちによる往年のJPOPカバーで、8話からの「feel my soul」が特に好き。YUIには色々と思い入れがあるのだ。
ストーリーや登場人物の心の機微はもちろんのこと、色味や空気感がとても良い。劇伴も良い。
放課後の学校の空気感や青空の中の入道雲、夕暮れの景色などかつての青春時代を思い起こして苦しくなる部分がある。「エモい」といった言葉で片付けてしまうにはあまりに惜しい郷愁感がそこにはある。
こうした恋愛ものは歳を取るにつれて共感できなくなっていくだろうし、有名作くらいはまだ若いうちに見ていかないとな、となんとなく思うのであった。
シンプルにヒロインの八奈見杏菜もウザ可愛いので良かったですね。
恋愛対象にはならないけど、隣にいてくれたら飽きないだろう。疲れて胃もたれしそうでもあるけど。
⑨ 〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)
ストーリー(公式サイトより引用)
————
高校を卒業し、
阿良々木暦の物語は終わった。
今度こそ、本当に終わった。
しかし暦に助けられた
彼女たちの物語は、
終わってはいなかった。
青春の中でもがく彼女たちの、
前日譚、あるいは後日談。
西尾維新のライトノベルシリーズ『 〈物語〉シリーズ 』を原作とするアニメシリーズ10作目(本編の前日譚にあたる劇場アニメ『傷物語』3部作は除く)。
その名の通り、原作ノベルの「オフシーズン」と「モンスターシーズン」の範囲がアニメ化されている。
『化物語』から基本的に阿良々木暦を主人公として、その周囲で起こる怪異にまつわる話が描かれてきたわけだが、今作では多くが別の登場人物の視点によって語られている。
それもそのはず、公式の作品紹介で記されているように、阿良々木暦の物語は本来『終物語』で終わっているはずなのだ。けれども物語が終わっても人生は続く。
そうして本作の9話からはじまる『忍物語』では、満を持して大学生になった阿良々木暦が主人公として再び描かれる。
個人的には物語シリーズは化物語や偽物語あたりの最初期が全盛であるようにも思うけれど、制作会社のシャフトが手掛ける独特な映像表現は健在で安定して面白い。
阿良々木暦の丁寧なようで遠回りな、少し回りくどく冗長で婉曲とも言える独白があってこその物語シリーズとも言える。
続編が何年と作られていくのは作品のファンとしてシンプルに嬉しいものだ。
以上、僕が視聴した2024年夏アニメの感想群でした。